好きになった方が負け
「適当に座って。何か飲み物持ってくるわ」


心なしかソワソワしてる慶太に気付いて、何となくあたしも落ち着かない。

座って小さく深呼吸をしてから、ゆっくり部屋を見渡した。


意外と綺麗に片付いてはいるけど、机の上には漫画が散乱。

勉強してる雰囲気はゼロ。


「なーに笑ってんだよ」


部屋に戻ってきた慶太にツッコまれ、顔が緩んでたことに気付く。


「だ、だって!!勉強してないんだろうなーって」


机を指差しながら必死に話す。


「あー。それでも笑美より断然テストの点よかったけどな」


「う…っ」


今週はテストが次々に返ってきてて、確かにどの教科も完敗だった。


「でも!!あたしだって今回欠点はなか…った…もん」


「ん?どうかしたか?」


あー…変なこと思い出しちゃった。

あのとき、龍くんと約束したんだよね。
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