好きになった方が負け
チュッ


「んっ!?」


一瞬だけ重なった唇がいきなり過ぎて、あたしは目を見開いて驚いた。


「なーに暗い顔してんだよ」


ニッて笑った慶太を見て、少し複雑な気持ちになる。

あたしは慶太の彼女なのに…。


「何でもないっ。それより…さっきのもう一回して?」


「は?さっきの?」


慶太のこと、前より好きになってるのは本当。

だけどまだ、龍くんの顔を忘れられないの…。


「チューして?」


「……お前、分かってる?」


ちょっと困った顔を浮かべたけど、すぐに慶太の顔が近付いてきた。


チュッと唇を覆われて、甘いキスが繰り返される。

慶太の舌の動きが、少しずつ早くなっていく。


パッと唇が離れたかと思うと、耳元で甘ーい声がした。


「笑美、脱がしていい?」
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