好きになった方が負け




「本当に送らなくていいのか?」


「大丈夫だって。まだ明るいし」


慶太に家の外まで見送ってもらって、あたしは笑顔で答えた。


「♪♪♪♪」


「あれ?電話かな?」


着信音がして、あたしはバックの中を探る。


「さっきから結構鳴ってるよな」


「え?そんなに鳴ってた?」


慶太の部屋に入ったときの、最初の一回しか知らないけど…。


「ふっ…音も耳に入らないなんて、そんなによかった?」


カーッ!!


「ば、バカ!!変態!!」


「うっせー。じゃあまた明日」


チュッて軽く唇が重なった。

優しく笑う慶太に、胸がトクンと波打つ。
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