好きになった方が負け
8#距離
ちょっと話せる?って龍くんに言われて、頷いてしまったあたし。


近くのカフェに入って、向き合って座った。


「何かこうやって話すの、すげぇ久々な気がするな」


変わらない声、態度、そして優しい笑顔。


「ほ、本当だねっ。てか龍くん、いつも突然過ぎ!!今日は仕事もう終わったの?」


スーツを着てるってことは、仕事だったんだよね?


「え…あぁ、そんな感じ」


「あははっ。何でそんな曖昧なの」


龍くんにも変わらないあたしを感じて欲しくて、無駄に明るく話す。


「……そーいや笑美、この間俺を無視したろ」


この間ってもしかして…。


「二週間ぐらい前?慶太といたじゃん」


「あー…うん」


「ダサいとこ見られたなー」


やっぱりあのときの…朋さんと龍くんが一緒だったときの話だ。

知りたいような、聞きたくないような…複雑な気持ち。
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