好きになった方が負け
「そういえばさ、慶太と付き合い始めた?」


「え…?」


唐突な質問に、息がつまる。


「さっき家に入ってく慶太と笑美見付けてさ。笑美ん家じゃないから、慶太ん家だろうなって」


見られてたんだ…。


「邪魔しちゃ悪いかとか迷ったけど、笑美の携帯に電話したら無視されるし。それって…そういうことだろ?」


バレて最悪だと思ってるあたしが最悪。

慶太のこと好きなのに、龍くんには知られたくないって思うあたしがいる。


けどね、龍くんはいつもの態度。

少しも気にしてくれないんだね…。


「何回も電話してごめんな。じっとしてられなくて…」


え?


「実は…慶太ん家の前で、ずっと笑美が出てくるの待ってた」


本当にいつもの龍くん…?


待ってたっていうのは、朋さんとの話をあたしに伝えるためなんだよね?

特別な意味なんて、あるわけないよね?
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