好きになった方が負け
「あ、あたしこそ…電話ごめんねっ。無視したわけじゃなくて、気付かなかったの」


そんなの嘘。

携帯が最初鳴ったのは知ってる。


あのとき電話に出てたら、どうなってたかな…。


「いや、こうやって話せたからいいよ」


ニコッと優しく笑ってくれた。

やっぱりいつも通りかも…。


「そりゃそうだよな…」


「え?何?」


龍くんがボソッと言った言葉を聞き逃してしまった。


「何でもねぇよ!!つか、ついに慶太にとられたかー。これからは今までみたいに笑美を誘えなくなるな」


「えっ…でも友達でしょ?友達と遊ぶぐらい、あたしもしたいっ」


何言ってるんだろ、あたし。

中途半端に一緒にいても、いいことなんかないくせに。


「それもそーだな!!慶太に言っとけば問題ないかっ」


好きになった方が負けってよく聞くけど、今のあたしは見事にそれに当てはまる。
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