好きになった方が負け
「ううん、今日は帰るよ。でも…またきてもいい?」


「ん…じゃあ家まで送る」


今度はあたしの右手を優しく握ってくれた。


「あ、クッキー一個食べてみてよ。甘さ控え目にしたんだよ?」


二人並んで歩きながら、慶太の反応が見たくてお願いした。


「分かった」


ガサガサと袋を開けて、クッキーを一つ口に放り込んだ慶太。


「どう…?」


自信作だと思ってたはずのクッキーなのに、慶太から反応がなくて不安が広がる。

おいしくなかった…?


「……超うまい」


ポツリと呟かれた感想に、ホッと胸を撫で下ろす。


「お前天才」


そう言いながら、もう一つ食べてくれた。


「ふふ…やっぱり?それ、あたしも思った」
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