未定
start
暑い夏の昼下がり…皆が外に出るのに億劫になり外に出た人間は出来るだけ早く帰ろうと暑い中で歩を早め汗をかく
かつては…クーラーなどない静かなかつては風鈴でも慣らしながら縁側で風流に夏が通るのを眺めていたんだろう

しかし今彼の車の横には風鈴の風流などとは縁遠い…いやむしろそれを破壊するかのようにやかましくエンジンをかき鳴らす若者が信号待ちをしている

男は黒く長い髪をオールバックに固め赤のオープンカーに乗っている。外車だ。まぁ目立つ風貌なのだろう
横の若者がうざったく覗き込んだり目を離したりしている

歩行者信号が点滅を始め赤になる

いよいよ走り出せると若者は前をむいていっそううるさくエンジンをかき鳴らす

「おい…」彼が突如若者に声をかけた
若者がいきり立ってこちらをむく

…バン…静かに鋭い轟音が辺り一体を駆けた

宙に舞うヘルメット愛車から投げ出された若者
頭部を撃ち抜かれた若者は何の生気もなくとばされた先で倒れている
愛車だけが依然として呼吸を続けている
突然の悲劇に周りの人間は悲鳴すら上げられない

「五月蝿い」
そう言って彼は青信号で再び走り出した

走り出して少しして彼の携帯電話が鳴りだす
彼は出ない…当然だろう今は運転中なのだから
それからさらに30分都会を抜け田舎を抜け人里を離れた別荘の駐車場に停車して頼まれた買い出しの袋を持ち中へと向かう

立ち上がった際の彼の身長は185はあるだろうか
日本人にしてはかなりの巨躯だ
筋肉質だが引き締まっている
その体の上にこの炎天下にスーツをきっちりと着こなし黒のオールバックと暑苦しい格好をしている
買い出しに行っただけなのだが…まぁ彼はそういう人間なのだ

ドアを開け奥にいる友人に今戻ったと声をかける
「どうして電話に出ないんですか?」と
呆れた声が飛んでくる
運転中だったからな…と短く答えると友人は呆れ果てたのか黙ってしまった
「ほらとりあえず飲み物だ」買い出しの袋からペットボトルを取り出し彼に渡す

友人は彼とは対照的だ
背格好は痩せ形で小柄…165程度だろうか…
ラフなTシャツとジャージで床に座っている
背格好だけでなく考え方も対照的だった
目的第一主義でルールは目的に有効なものだけ拾って守る…そんな人間だ

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