君色の夢に恋をした。
あれから、私は強くなった。
無視ぐらいなら、どうも思わなくなったし、
教科書や上履きも、盗まれる前に持ち歩く技術もついた。
――だけど、
屋上とクラスという名の集団。
そして、主格らしき人が手に握りしめている、
――ハサミ。
さすがの私も、かすかに震えていた。
「まだ、わかんないの??早口さん。」
『…わかるわけないじゃない。』
見覚えないのに、無意味に呼び出されて。
わかるはずが、ない。