君色の夢に恋をした。



「…キレイだなって思って。」

『…は??』



思わず、不愉快な声をあげた私に、文句を言う人は誰一人いないだろう。


だって、人の傷を見て『キレイ』って…。


ふざけてる。



『…何バカなこと言ってんのよ。』

「バカなことじゃないよ。

だって、その傷。

――羽の形をしている。」

『…えっ??』



覆っていた手のひらを、急いでもう一度どかしてみる。



…翔の言うとおりだった。


見方や見る人によって変わるけれど、


確かに、羽の形をしていた――。



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