君色の夢に恋をした。
「…こいつっ!」
よっぽど頭にきたらしい。
集団のなかの1人が、腕を振り上げた。
――あぁ、私、殴られるんだな。
そんなことを思ったけど、私は別に身構えたりしない。
だって、全然、怖くなかった。
恐いとか、
やめてほしいとか、
そんな感情はどこかに置いていってしまったから。
きっと、人間らしい感情は私のなかに残っていないだろう。
ただ、私は目の前に起きている出来事を受け入れるだけ。
心を失った私は、きっと何も思わないだろう。