君色の夢に恋をした。
「…あっ、早口おはよう!」
「……。」
あれから、真っ直ぐ美術室に向かった私。
そんな私を迎えてくれたのは、爽やかな笑顔を浮かべる翔の姿だった。
「……なっ」
なんで、いるのよ。
翔は私がいつも座ってる場所を、自分の所有物であるかのように陣取っていて。
私の視線に気づいた翔は、私に向かってヒラヒラと手を振ってみせる。
だいたい、今は「おはよう!」なんていう時間じゃないし。
つうか……!
「なんで私の名前、知ってんの?」
どうしても耳に引っかかった私は、若干声を張り上げた。
だって私、翔に名前を教えた記憶ない。
教えるつもりも、ないのに。
それなのになんで、知っているの?