君色の夢に恋をした。
それは、突然のことだった。
『……っ』
手術中のランプが消えて、重苦しい扉が静かに開く。
俺は、小さく息を飲んだ。
「…結衣さんは、どうなりましたか??」
中村先生が担当医に静かに問う。
その態度は冷静に見えたが、額にシワがより強張っていた。
俺に限っては、喋ることさえできない。
ただ、担当医の次の言葉を待つだけ。
「…一命は、とりとめました。」
とりあえず、ホッと一息。
最悪の結果にならなかったのが、俺の心を少しだけ軽くさせた。