君色の夢に恋をした。
「……は?」
無視をしようと思っていたのに。
翔の口にしたことがあまりにも予想外すぎて、思わず翔を見返していた。
重なる視線。
翔の視線は、嘘偽りなく真っ黒。
嘘はついてるようには見えないけど、…私、知らない。
私、泣いてなんかいない。
「怖い夢でも見てたの?」
「見てないし。つうか私、泣いてなんかいないから。」
目線を翔からずらしながら、抑揚のない声で言い払った。
いつもと同じトーンを意識する。
翔に動揺を、悟られたくない。
深入りされたくない。夢の内容なんか、言いたくない。
―…あの夢の内容なんて、もう思い出したくもないの。