君色の夢に恋をした。
例年、この蒸し暑い季節は厄介だ。
どうせなら、一年中過ごしやすい春とかだったらいいのに、…なんて思ってしまう。
―…私、早口 結衣は至って普通の女の子。…の、つもり。
だけど周りには、私が普通には見えないらしい。
好きなものは、絵。
嫌いなものは、人。
クラスメートたちが話す“恋バナ”だとか“芸能人の話”とか、どうしてもする気になれなくて、冷めた態度で接していたら。
いつの間にか、一線を置かれた存在になっていた。
つまりは、クラスでは“浮いた存在”。