君色の夢に恋をした。
翔の焦ったような、戸惑いの視線を感じた。
私は、気づかないふり。
できれば、こういうのには関わりたくない。
だいたい、ただえさえ人と関わるのを好まない私が、進んで興味を持つわけないじゃん。
面倒なことには、極力近づかない。
…人間に近づいたって、良いことなんかひとつもないもの。
私は無表情で2人の真横を通り過ぎようとした。
その時、だった。
「ちょっと。」
グイッと、斜めがけのショルダーバックの紐を引っ張られて。
突然のことに思わず、傾いてしまう重心。
私は驚くこともなく、ただ力の方向を見据える。
…ったく、なんなのよ。
危ないじゃない。