プリシラ
act.2
「仁、ちょっとおいでよー」

 三つ年上の姉さんが自分の部屋に僕を呼ぶ時決まって何人かの女友達が待機している。

 姉さんとは仲良しで姉さんの友達にもやたらと可愛がられた。

 周りからはよく姉さんと反対だったらいいのにと口々に言われた。

 僕は小さい頃からしょっちゅう女の子に間違えられて、姉さんは男の子より元気で強かったから。


 僕が部屋に入ると姉さんの友達は口々にかわいいとか、キャアキャア言いながら僕の髪や頬にペタペタと湿った指先で触れてくる。

 それが特別嫌ではなかった。

 むしろ心地良くこうやって一緒に遊ぶ事は僕にとっては自然だった。
 
 ただアイドル事務所に写真を送るって言いだした時だけは、やめてとお願いした。

 そんなのクラスの皆にバレたら馬鹿にされるに決まってる。

 姉さんの友達皆で一緒にファッション雑誌を見たり、いい匂いの化粧水をつけてもらったりして遊ぶのは楽しい。
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