僕の机のスミの恋人

――翌朝。
学生の朝はやはりはやい、特にこの頃は学校行事がギッシリのため、急いで登校する生徒も少なくない。

我が御原高校は前期後期の二学期制である。4月から10月半ばまでの前期は、あらゆる学校行事で『楽しい学校生活を送ろう!』というのが我が担任『時安』こと『とっきゃん』の去年からの口癖である。

かわって後期は、楽しい前期とは違い完全なる勉強ライフとなっているのだ。

ついでに、幸か不幸か担任は一年のときと同じである。


「おはよっす」


太田だ。


「おっす」

「今日ってさ、なんか行事あったよね?」

「なんだっけ?」


もちろん興味などあるわけないので、知るよしもない。


「なんかあったはずなんだよね」

「学校着けばわかるだろ」

「それもそうっすね、じゃあ僕は先に行くぜ」


すると、俺の返事もきかず走り去っていった。


「そのまま逝ってこい」


騒がしい野郎だ。


そのまま、とぼとぼと朝の涼しい風を感じながら歩いている。けれどもなぜか全身が重たい…………。


「あなたは憑いています」

――なにが?
俺の隣には、同じクラスの吉井花(よしいはな)が、数珠をふりながら縁起でもないことをつぶやいていた。


「とっても恐ろしいです。サヨナラです」


太田と同じように、風のように去っていった。

…………で、なにがついてるのですか?



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