僕の机のスミの恋人

学校に到着。
もちろん遅刻だったのだが……


「桜井、いつもどうり……っと」


担任が俺の遅刻にちょっかいをださなくなってからもう長い。しかい、未だに文句を言う根気がある生徒が一人。

学級委員長の『歩様』である。


「ちゃんと起こしにいったのに、なんで遅刻なのよ!?」


歩はあれから髪を切った。腰まである長さから、肩までになり雰囲気がだいぶ変わった。
ある意味、今のほうが可愛いい。

「ちょっと憑かれててな」

「疲れてる? 保健室いく?」


聞き間違えたらしい。でも都合がいいので保健室にいこうか。しかし、俺の脳内は歩に、もろでばれているらしく………


「今悪いこと考えてたでしょ」


返す言葉もないのでごまかしてみる。


「……愛してるよ」

「ごまかすな」


鋭い視線がそそがれた。


――ごめんなさい。
歩には、頭があがらない。そして、いつものお説教タイムが訪れるのだった。


「だいたいアンタわね……」


最後はお決まりの怒鳴り声が聞こえて終わりのはずだ。チラッと担任の顔をうかがう。

しかし、そこに担任がいない。
まだホームルームのはずなのだが………


ホームルームにとっきゃんがいなくなるのは珍しい。というか初めてかもしれない。
いつも、駅前の本屋のブックカバーを付けた単行本を読んでいる。
ジャンルはミステリーと言い張っているが、わかったもんじゃない。いつも覗こうとすると、ぶん殴られるからだ。

まぁ、太田に覗かせにいかせているので痛くはないのだが。




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