僕の机のスミの恋人

さくらんぼ


歩の怒鳴り声とともに、授業終了のチャイムが鳴り響き、転校生騒動の一部幕下げとなった。

休み時間皆が実にたかっている隙に教室を抜け出した。俺が放課後以外に教室を出るのはトイレかサボりしかない。

もちろん今はトイレではないサボりだ。

御原高校の校舎は3階建てである。学年が上がるにつれて下の階に教室が回ってくる仕組みだ。
つまり三年生はだるい階段をのぼらなくてすむのだ。

俺ら二年の教室は当然2階にあり、俺はそこから三階に向かいさらにもう一つ上の階にあがる階段に足をかけた。

何度も言うがこの校舎は三階建てである。その校舎の三階からその上にいくということは……


屋上だ。


「んーーーーーっと、寝ますか」


ぐっと、伸びをして寝転がった。屋上は普段立入禁止になっているが、鍵は常に開いていた。

そのためか俺の寝所になってしまっている。


不意に人の気配を感じた。


「やっぱここか、ゆう」


太田だ。


「なんだ、オオイカリナマコ」

「誰が世界一でかい棘皮動物なんですか!?」


なかなかの博識のようだ。まぁ、俺は昨日テレビで見た名前をだしただけなんだがな。

「ちなみに棘皮動物というのは無脊椎動物の一門で、ウニ・ヒトデ・ナマコなどの類である」

「ということは、お前はとんでもなくキモい変態になるな」

「だからオオイカリナマコじゃないですよ!!」


どっちにしろ変態は否定しないのね…………





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