僕の机のスミの恋人


「てか、どーしたんすか?」

「なにが?」

「ここに来るのひさびさじゃん」


確かにひさびさだ。去年の9月頃に来て以来かもしれない。

特に意味はないのだが、一つ言えるなら……


「冬場は凍死する」

「なるほど」


ふと、この心地よい感じに言葉をつけてみた。


「…………青春だな」

「それ好きだね」


俺が青春を感じたときは決まっていいことがある。なにかのお導きなのだろうか……

とまあ、信じもしない『なにか』に心踊らせるのは悪いもんじゃない。

そう思わせてくれたのは、実だった。


「ねぇ、実ちゃんのこと教えてよ」


太田が俺の心情を読み取ったかのようなことを言い出した。

俺はなにも言わず、寝転んだまま目を閉じた。

すっと風が通り過ぎるのを待って、唇を開いた。



あれは、俺が10才の時のことだった……




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