僕の机のスミの恋人


「……で?で? 約束ってなに!?」


話すんじゃなかった。
子供のころと言っても、きかれたらマズイ部分まで話し込んでしまったぜ。


「それは太田の《ちょっとあれな性癖》と共に墓まで持って行かせてもらうぜ」


太田の性癖がボンバーした姿を誰かに想像させてしまったら、ご愁傷様なことになってしまう。


それははとんでもない罪に値するだろう。どんな罰がまっているのか……。



それは避けねばならない。


「なぜ僕の性癖を!?」


太田がわざとらし突っ込みを入れてきたので、軽く口調を真似てのってみた。


「ふっ……長い付き合いだぜ、俺達」


ぐっと立てた親指が、このくそ芝居に味をだす……


「まぁな、あと別に僕の性癖を公開してもなんの差し支えもないよ」


ばかな!? 先に芝居を終わらせやがった……


「……あほらし」


コイツが性癖なんて気にするわけがない。

そこが俺の最大のミスだ。ある意味見落としというか誤算というか……


コイツは変態だった。


「で、約束ってなに? べたなパターンでいくと結婚とかかな!」


体とはよく出来ている。一瞬目がかすんだお陰で、太田のキモい想像をした時のいっそうキモい顔を見ずにすんだ。


――刹那。
なんてバトルマンガみたいな表現を誤って使ってしまうほど一瞬の出来事だった。


「け……結婚!!!!?」


大声と共に三人の人が屋上に招待された。招いてないが……

キコキコと鳴る屋上の唯一の扉が、学校内では悪名高い『コイツ等』がなにをしていたかを物語っている。

太田の「こっちもベタでした〜」という声が事情を説明しているだろう。


「いい天気ですね〜」


皮肉たっぷりの挨拶を『彼ら』に呟く……





『新聞部』の彼らに。





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