僕の机のスミの恋人
「帰ってください」
心からの叫びだ。
「断る!」
「です!?」
「なのだ?」
厄介なことになった。デマでもいいから、明日の校内新聞に載せたいらしい。
助けを乞うように太田に視線を飛ばしてみた……目を輝かせながらのガッツポーズ…………………
新聞部の味方らしい。というわけで、思いっきりローキックをかましてやった。
思ったよりサッカー部で鍛えているらしい、びくともしない。
「いだぁー!!!!!!!」
だが、効果は抜群だった。
「なにすんですか!?」
「黙れキロネックス!!」
またもやテレビ番組の受け売りだ。
「キロネックス!? 世界で一番強力な毒を吐くともいわれているアレっすか!」
「たぶん……」
「いいじゃないですか……キロネックス!」
しまった。喜ばせてしまったぜ。『世界一』が、げてものオンリーではないみたいだ。
とりあえずほって置こう、キロネックスは……
世界一の毒よりも、校内一の情報発信源のほうが怖い。
「じゃあ先輩方、取引しましょう」
「申してみろ、桜井ゆう!」
「ゆう!」
「ゆう………クン」
一人引っかかる反応を示したが、話を進めよう。
「桜川歩はご存知ですね?」
「もちろんだ!」
「なのだ!」
「だぁ?」
「俺は彼女の『あんな』情報や『こんな』情報を持ち合わせている……。この意味わかりますね?」
本当のことをいうわけではない、そんなことをしたら死ぬ。
空高く打ち上げられて、月に新たなクレーターをこしらえてくれるだろう……
くわばら。くわばら。