僕の机のスミの恋人


「………で、なぜ実がいる?」

「にゅ? だめなの?」


家の玄関を開けた先に、俺しか知らないエプロン姿の母親と共に、ちっこいツインテールが迎えでた。

そして理解不能な展開にフリーズさせてる俺がいた。

何よりも今の状況を聞かねばなるまい……


「なんで実さんがここにいるんですか?お母様」


小芝居風にたずねる。


「あら?ゆうちゃんの‘いい人’なんじゃないの?」

「…………」


不幸中の幸かあの事はばれていないようだ。勘違いの方向もよくわからんのだが、スルーだ。

俺は実の手を引っ張って、母さんに聞こえないようたずねる。

「なぜうちへきた?」

「お兄ちゃんに会いたかったんだよ? お引越の挨拶もしてないし」

「……ばれちゃいけないのわかるよな?」


俺に実の思考がまったくよめん。ばれてまずいことになるのは親父だけじゃない、実だってそうだ。

なにより悲しむ母さんの顔がみたくない。


「ボクはお兄ちゃんのいいひと?」


俺の質問を質問でかえされた。ここは流された方がはやく済むのだろうか……

もはや面倒である。

そしてタイミングよくいいアイディアが舞い降りた。

「コイツは太田の彼女で、太田の事で相談しにきたんだよ母さん」

「ふぇっ!?」


予想していた反応。俺のシナリオどうりだ。


「あら、そうだったの〜 そうよね、ゆうちゃんには歩ちゃんがいるものねぇ」

いらんことを言う母に怒りと悲しみを覚える。そういうややこい事をいま言わなくても……


鬼畜だ。





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