僕の机のスミの恋人
「なーに思い煩ってんのさ、らしくないぜ」
「ほっとけ、ホモサピエンス」
「うぐ……人が心配してやってんのに」
コイツはアホだけど歩のことといい、俺のことをわかってる気がする……
「キモい、今すぐガードレールの向こうへ駆け出してくれ」
「死ぬよ! 唐突にそうゆうのやめてよね、本気だとおもうだろ」
そうか、俺の本気が伝わってないのか。なら心の深い闇の部分から叫んでやるよ
「心の底の底の底から申し上げます、逝ってください」
「……お前って鬼?」
俺の心の底はどうやら鬼らしい。じゃあ歩はなんだろうか……
魔王?
「それじゃあ俺は天使だな」
「もしそうなら、堕天使でしょうね」
「それは言えてるな」
そろそろ家も近くなり、日も落ちかかっている。
太田は家が近所で、ほとんど同じ帰路だ。
いつも学校帰りは、馬鹿な話をしてだるそうに歩いてる……
「これも青春なのか?」
「なにが?」
「学校帰りに友人とだべって歩くこと」
「輝かしい青春なんじゃないの? サラリーマンには、もう出来ない10代の醍醐味だもんね」
「そうか……」
サラリーマンには出来ない10代の醍醐味……
なるほど、大人になってからじゃ出来ない事をするのが青春なのか。
なんか俺の中の価値観がかわった気がする。