好きの代わりに…
返事の挨拶がないのもいつものこと。
お母さんがあたしを嫌うのも
…いつものこと…
ドアを開けるなり
眩しい光が目に飛び込む。
…ここからは、家での杏奈じゃない、外の杏奈だよ…
そう心に念じて一歩踏み出す。
すると、塀から
見たことのある茶色髪が見えた。
「杏奈~っ今日からやっと高校生だね-☆」
朝からハイテンションの心友、楠木美羽。
美羽も知らない。
あたしが
親のことで悩んでるなんて…。
というより、
知られたくなかった。
それで離れられたり同情されるのが嫌だった。