上司に恋しちゃいました
仙台駅の改札を出ると、鬼の王子が壁に寄りかかって待っていてくれた。
あたしを見つけ、笑顔になってくれた鬼の王子のもとに、急いで駆け寄る。
「接待はどうしたんですか?」
「もう終わったよ」
吐く息に、少しだけお酒の匂いが混じっていた。
ちょっと入れすぎてしまったあたしの大きなボストンバッグを鬼の王子が持ってくれる。
隣を歩くと、なんだか胸がくすぐったかった。
ここにはあたし達を知る人は誰もいない。
閑散とした夜の駅内を並んで歩いた。
空気が少しだけ、軽く感じた。