上司に恋しちゃいました
バサバサバサッ……と、書類の束が、音を立てて崩れ落ちる。


「!!??」


一瞬、何が起きたのかわからなかった。


押しつけられた唇。


ふさがれた両手。


鬼の王子は悠然と瞼を閉じている。


どんなに抵抗しても、唇は離れてくれなかった。


無理やり口内に侵入し、舌を絡ませる。


唇の重なり合う音が部屋に響く。


「……っ……っ……!」


悲鳴を押し殺すように、何度も唇が離れては触れた。


そのキスは、単に唇を押し付け、触れるだけが目的のキスではない。


身体の芯が熱くなるような、濃厚で、刺激的な、『大人のキス』だった。
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