上司に恋しちゃいました
まるで本当の恋人同士のようだった。


人目を盗んで、こっそりとキスをした。


潮気ある風に濡れた唇は、ちょっぴりしょっぱくて。


その味を味わうように、何度も何度もキスをした。


途中から人に見られても構わないという気になった。


ここには、あたし達を知る人は誰もいない。


そう思うと、いつもより大胆になれた。


あたし達の背景には、目も冴えるような濃い緑色の松の葉が、さやさやと声を立てて風になびいていた。


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