上司に恋しちゃいました
瞼を上げると、鬼の王子が包み込むような優しい笑顔を向けてくれていた。それだけで、救われた気がした。


「真剣に祈ってたな。何、お願いしたんだ?」


「……秘密です」


子供のように不満気な顔を隠そうとせず、むぅとした顔を見せる鬼の王子。


愛おしくてたまらない。


「そうだ、おみくじ引きましょ」


鬼の王子の手を取って、引っ張るように歩き出すと、鬼の王子はやれやれといった顔をして歩き出した。


受付の横にお守りやパンフレットが売られている、小さな売店があった。


そこに、ひと際目を引く大きなだるまがひとつ、どっしりと座っていた。

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