上司に恋しちゃいました
鬼の王子に無理やり横に寝かしつけられ、あたしの額には水を絞った冷たいタオルが置かれている。
「ごめんなさい」
熱のせいで潤む瞳で、鬼の王子を見上げながら言った。
「なんで謝る」
「だって……」
あたしは鬼の王子から視線を外して、掛け布団を見つめながら、ごにゃごにゃと呟いた。
「え? 聞こえない」
鬼の王子があたしの口に耳を近付ける。
「……エッチできなくて、ごめんなさい」
口に出すと、熱のせいではなく、顔が真っ赤になった。
すると鬼の王子は顔をほころばせると、布団を被って顔を隠したあたしの頭を撫でた。