上司に恋しちゃいました
足が、自然とオフィスとは反対の方向に進む。
離れていくにつれて、張りつめていた緊張の糸が解けていき、震えが止まらなくなっていた。
階段を昇って、重厚な扉を開けると、強い風が身体を通り抜けていった。
昼休みになると多少賑わう屋上も、今は就業時間なので誰もいなかった。
くすんだ灰褐色の空。
ビルとビルの間から地響きのような音を立てて、強い風が張り手をしてくる。
風が鳴る度に、声を上げた。
身体から自分の汚い気持ちを吐き出すように。
涙が頬を伝うなんて、そんな綺麗なものじゃない。
顔をぐちゃぐちゃに歪ませながら、小さな子供が駄々をこねるように、大きな声で泣いた。
苦しくて、苦しくて、仕方がなかった。
身体中をかき毟(むし)って、鬼の王子を好きな気持ちも、憎む気持ちも、奥さんに対する嫉妬の憎悪も、全部全部吐き出したかった。
自分がこんなに嫉妬深い女だなんて思わなかった。
こんなに激しい気持ちを持っていたことも。
離れていくにつれて、張りつめていた緊張の糸が解けていき、震えが止まらなくなっていた。
階段を昇って、重厚な扉を開けると、強い風が身体を通り抜けていった。
昼休みになると多少賑わう屋上も、今は就業時間なので誰もいなかった。
くすんだ灰褐色の空。
ビルとビルの間から地響きのような音を立てて、強い風が張り手をしてくる。
風が鳴る度に、声を上げた。
身体から自分の汚い気持ちを吐き出すように。
涙が頬を伝うなんて、そんな綺麗なものじゃない。
顔をぐちゃぐちゃに歪ませながら、小さな子供が駄々をこねるように、大きな声で泣いた。
苦しくて、苦しくて、仕方がなかった。
身体中をかき毟(むし)って、鬼の王子を好きな気持ちも、憎む気持ちも、奥さんに対する嫉妬の憎悪も、全部全部吐き出したかった。
自分がこんなに嫉妬深い女だなんて思わなかった。
こんなに激しい気持ちを持っていたことも。