上司に恋しちゃいました
……もう、限界だった。


ホテルを出ると、涙が溢れて止まらなかった。


一人で家にいると、今頃彼は奥さんと楽しく夕飯を食べているのかなと思うと、胸が苦しくなってきて息を吸うことすらきつかった。


会社で会っても、薬指にはめられた結婚指輪を見ると、いてもたってもいられなくなり、トイレに駆け込み、声を押し殺して泣いた。


もうダメだ、限界だ。


これ以上鬼の王子を見ることはできない。


これ以上近づくこともできない。


ましてや、自分から離れるなんてできやしない。

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