上司に恋しちゃいました
結局部屋に入れ、鬼の王子は落ち着かない様子で座布団に座った。


キョロキョロと、初めて入ったあたしの家を見つめる。


なんだか恥ずかしかった。


コーヒーを入れ、鬼の王子の前に置くと、王子は話しを切り出した。


「辞表が置いてあったんだが……」


「はい、辞めたいと思っています」


鬼の王子の顔が見れなかった。それに対して、鬼の王子は痛い程の眼差しであたしを見てくる。


「理由を教えてくれないか?」


言えるはずがない。


あなたを好きになりすぎて、仕事ができません、なんてこと。

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