上司に恋しちゃいました

「これはダミーだ。俺は結婚していない。ここに配属する前に女の子同士で俺の取り合いになったんだ。それで上司と相談して、ダミーの指輪をつけることになったんだ」


ほら、俺ってモテるだろ？　とイタズラ好きな子供のような顔で笑った。


「でも、部長が奥さんと会ったことあるって……」


「そもそも、ダミーの指輪をつける案を出したのは部長だからな。あれは全部、部長の思いつきだ」


「そんな……」


じゃあ、あたしは何に今まで苦しめられていたの？　存在しない相手に嫉妬して、ずっと悩んでいたってこと？


「結婚してないなら、なんで言ってくれなかったんですか！？」


あたしは初めて声を荒げて叫んだ。