上司に恋しちゃいました
たった今、恋人と小さなやり取りをしたとは思えない表情だ。


……あたし達本当に付き合ってるのかな?


一瞬本気でそう思えるほど、鬼の王子のそっけない態度に自信をなくす。


……仕事中だからしょうがないけどさ。


椅子に深く腰を下ろし、キーボードに両手をかざすと、前の席に座っていた島田君が声をかけてきた。


「ファイトっす!」


落ち込んでいるあたしを気遣ってくれたのか、島田君は太陽のような明るい笑顔で言った。


「ありがとう」


島田君の気持ちに応えられなかったのに、普段と同じように接してくれる優しさが嬉しかった。


でも、落ち込んでいたのは仕事のせいじゃないんだけど……。


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