上司に恋しちゃいました
こっそりメモ書きを見ると、
【今日一緒に帰ろう。少し遅くなるかもしれないけど、待ってられるか?】
と達筆な字で書かれてあった。
あたしは顔を上げて鬼の王子を見た。
鬼の王子はすでに自分のデスクに戻っていて、いつもと変わらない少し眉間に皺を寄せた恐い顔で書類を確認している所だった。
鬼の王子から貰った青い小さなメモ用紙。
あたしはA4のクリアファイルにそれだけを入れて、右上の鍵がついている引き出しに仕舞った。
仕事で疲れた時や、落ち込んだ時にこれを見よう。
ついついニヤけてしまう顔を隠して、再び仕事に取り掛かった。