上司に恋しちゃいました
「……ふっ!」


拒むより先に鬼の王子の唇が、あたしの唇を塞ぐ。


絡められた舌先。


押し付けられた熱い身体……。


「ほら、美月もスイッチ入った」


「やっ……」


鬼の王子の意地悪な瞳は、あたしなんかよりもよっぽどセクシーで。


何もかも忘れてしまうほど……。


「課長……っ!」


鬼の王子の背中に掴まり、名前を叫ぶ。


触れられただけで、頭が真っ白になりそうだった。



「ちょっと! 会社で何やってんのよ!」


突然の第三者の声に、あたし達は驚き一瞬で身体を離した。


ドアから見える人影。


声と体格からして女の人だとは分かるけれど、目が光に慣れなくて顔が判別できなかった。
< 211 / 341 >

この作品をシェア

pagetop