上司に恋しちゃいました
「課長……と……先輩……?」


〝先輩〟と言われて顔が見えなくても誰なのか分かった。


途端に顔から血の気が引いていく。


「先輩が不倫してたなんて……見損ないました」


宮沢さんは侮蔑の眼差しをためらうことなくあたしに向けた。


可愛い後輩だと思っていただけに、胸がズキンと傷付いた。


「宮沢さん……違うの! これは……」


宮沢さんはあたしの言葉に耳を傾けようともせず、綺麗に巻かれた長い髪を翻(ひるがえ)して走って行ってしまった。


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