上司に恋しちゃいました
「あのね、そのことなんだけど……」


あたしは両手で組んだ手を見つめながら、これまでのいきさつを簡単に説明した。


課長は結婚していないこと。


あたし達はもうすぐ結婚すること。


すると宮沢さんは言った。


「でも先輩は、課長が独身ってこと知らずに付き合っていたわけですよね?
結果が良かったからいいけど、先輩のやっていたことって不倫と変わらないと思います」


「……うん、そうだね」


もっともな意見すぎて、何も反論できない。


宮沢さんのお父さんは不倫していた。


だからこそ、不倫の痛みを一番理解している。


< 221 / 341 >

この作品をシェア

pagetop