上司に恋しちゃいました
「あの、もし、これから特に何も予定がないようだったら、その……」
「今どこ?」
「え!? えと、代官山です」
「今から合流してもいい?」
「も、もちろんです! 迷惑じゃなければ!」
鬼の王子は、迷惑なはずないだろ、と笑いながらすぐに行くから待っててと言って電話を切った。
通話ボタンを押した時よりドキドキしていた。胸に手を当てなくても、ドクッドクッと心臓の音が聞こえるほど。
鬼の王子が来る!
飛びはねたいほど嬉しい気持ちを押し殺して、携帯電話を両手で握った。