上司に恋しちゃいました
それなのに、今頃になって辞めたくないだなんて。虫が良すぎるのはあたしの方。
鬼の王子くらい仕事ができて忙しい人は、家庭に入ってくれるお嫁さんを望んでいるんだ。
共働きをする必要がないんだから。
きっと鬼の王子は家庭に安息の場を求めている。
なんだかすっかり〝そういう雰囲気〟じゃなくなってしまった。
「この前会社内でいちゃついてるの見られて失敗したばっかりなのにな」
鬼の王子は苦笑いしながら、あたしのはだけたブラウスを直した。
あたしは無言で起き上がって、ブラジャーをつけ直す。