上司に恋しちゃいました
* *  *

「今週末にでも美月の両親に挨拶に行こうか」


突然切り出された言葉に、あたしはぞっとした。


鬼の王子の実家にはもう挨拶は終えていた。


ご両親ともとても優しそうな方で、結婚を心から喜んでくれていた。


「今週末、ですか? お母さん予定があるとか言ってたような……」


「また? これで何回目だよ。俺嫌われてんのかな~」


「まさか! そんなことないですよ!」


「でもおかしいだろ、いまだに会えないなんて」



視線を泳がすあたしに、鬼の王子は訝しげに見つめた。

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