上司に恋しちゃいました
ホテルに入ると、鬼の王子はだるそうにネクタイを緩めて、ベッドの上にどかりと座った。



緩められたネクタイに、外された第一ボタン。



少しだけ見える鎖骨が妙にセクシーで……。



あたしはゴクリと咽を鳴らした。



「何突っ立ってんだよ。早くシャワー浴びてこいよ」



……この人は、どうしてこんな時でも上から目線で物を言うのだろうか。



「あ……ハイ」



仕事を頼まれた時のように返事をして、シャワールームに向かった。



……あたしはなんでこんな時まで従順な部下を演じているのだろうか。



鬼の王子には逆らえない。



あたしの本能が、彼から命令されたいと願っている。



嫌いになれないのは、そのせいかもしれない。

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