上司に恋しちゃいました
「なんでこんなに時間がかかるんだ! もっと要領良くできるだろうがっ!」


「……すみませんでした」


精巧なガラス細工職人が、手間暇かけて作った芸術品のように整った顔立ち。



綺麗な形をした眉を寄せ、営業第一課長、鬼の王子こと鬼木隼人(おにき はやと)は激昂していた。



鬼の王子が横浜支店から異動してきたのは一ヶ月前。



王子のような甘いルックスに反して、厳しい態度から、鬼木という名前をもじって、いつしか皆から〈鬼の王子〉と呼ばれるようになった。




あたしは怒られているのにも関わらず、冷静に鬼の王子の綺麗すぎる顔立ちを眺めていた。
< 3 / 341 >

この作品をシェア

pagetop