上司に恋しちゃいました
 重厚な扉が開かれる。


オルガンの音色と子供が歌う讃美歌の高い歌声が、神聖な教会内で反響し合う。


大きなステンドグラスに外の光が差し込み、厳かで格式高い空間がより一層際立っていた。



同僚や友達、親戚一同の祝福の目が注がれる。


そして祭壇の前には、礼服に身を包み、一国の王子のような風貌で佇む一人の男性。


ステンドグラスから零れる太陽の光が眩しくて、表情まではわからなかった。


けれど、これだけはわかる。



彼が待っているのは、あたしだということを。
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