上司に恋しちゃいました
鬼の王子は、おはようと目を細め爽やかな笑顔であたしに挨拶をした。
「あ…おはようございます……」
視線を逸らし、俯いた。
一気に身体中が熱くなる。
コピー機がある場所は、オフィスの隅で薄い壁一枚が死角となってスタッフ達からは見えない。
その危うい空間を楽しむかのように、鬼の王子はあたしの背中に身体を近付かせ密着してくる。
「なんで起こしてくれなかったの? 起きた時お前がいなくてすげー寂しかったんだけど」
まるで恋人に対する会話のようにフランクに話しかけてくる鬼の王子。
あたしの心臓はうるさい程悲鳴をあげていて、古いコピー機にも負けないくらいだった。