上司に恋しちゃいました
「深川のおかげで土曜出勤をなんとか免れそうだよ」


鬼の王子は顔をくしゃっとさせて笑った。



「土曜も出勤しているんですか!?」


驚いて聞くと、まぁ、繁忙期だけな、と苦笑した。



誰よりも早く会社に出社して、誰よりも遅くに帰宅する。



鬼の王子は要領がいいから何でもソツなくこなしてしまう人なんだと思っていたけど、誰よりも努力をしている人なんだ……。



「俺もそろそろ終わりそうなんだけど、手伝ってくれたお礼に一杯奢るよ」



サラリと言われた言葉。



驚いて目を見開いていると、鬼の王子は「ん?」と不思議そうな顔をした。




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