上司に恋しちゃいました
あ……やだ、あたしったら一々大げさに捉えすぎ!



鬼の王子は単純に『上司』として誘ってくれたのに。



それを変に深読みするなんて自意識過剰な女だって思われちゃう。



「そう…ですね! 何も予定ないですし、ご馳走になろうかな!?」



慌てて取り繕ったせいで、なんだか変なテンションで返事をしてしまった。



けれど鬼の王子は嬉しそうに「おう! じゃあ後10分待って。すぐに終わらせるから」と言った。



あたしはハイと元気良く返事をして、慌てて化粧室へと走った。



化粧崩れしている顔を慌てて直しながら、胸はドキドキと高鳴っていた。



あの鬼の王子の表情に下心は見えなかった。



でも……でも……でも……
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