上司に恋しちゃいました
今までの関係だったら、鬼の王子の誘いは仕事の延長線上のものだろう。


けれど、一晩共にした相手との飲みは別の意味あいになるのではないか。



あたしは口紅を塗りながら、冷静さを取り戻していた。


いや……でも、あの表情。


やっぱりあたしの考えすぎかもしれない。



考えれば考える程分からなくなって、一人トイレで地団太を踏んだ。



「やばっ! もう10分過ぎてる!」



腕時計に目をやって、ポーチに化粧小物を詰め込んで慌ててトイレを出た。

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